ボートユーザーの大敵!フジツボと船底塗料

少しづつ進むボートの不調

ボートを係留しておくと数ヶ月もすると船底にフジツボらしきものが現れてくる。一旦フジツボが発生すると恐ろしいスピードで増殖をしてしまう。これにより、ボートには、様々な悪影響を及ぼしてしまうのである。

初めてボートを持った方にはこの恐ろしさがあまり知られていないためによく相談を持ちかけられる。その相談内容と以下のようなものだ。

1.最近スピードが落ちてしまった。
2.エンジンの回転が上がらない
3.エンジンから異常なくらい黒煙がでる。
4.燃費が悪い!

このような症状が発生すると大抵の方は、エンジンの調子が悪いのか?プロペラが悪いのか?と決めかかってしまうが、実はフジツボが原因していることが多数あるのだ。実際、お客様でトップスピード(エンジンの回転)が落ちたので、プロペラが原因していると思ってプロペラを交換し、それでも改善せずに、次は燃料に水が混入しているのか?と思って燃料タンクを清掃しても異常がないため、次はエンジンと思って修理業者に相談して、初めてフジツボが原因していることを知ったお客様もあったのである。

実際、フジツボが付着しているボートと清掃後のボートではひどい場合は20〜30%トップスピードや燃費が変るのである。つまり、進水した当初の走りに戻るのである。

 

なぜ、フジツボは付くのか?

フジツボと言っても日本だけで200種類ものフジツボがいる。火山のような形をしたフジツボは壷の部分から脚のような物(蔓脚(まんきゃく))を出してエサのプランクトンを捕食します。あの硬い殻の中には頭部、胸部、脚部に分かれる部分も有り、フジツボは甲殻類でエビやカニの仲間なのである。


 フジツボは体の中で卵をふ化させ、幼生を放出します。これがノープリウス幼生で海中を自由に泳ぎまわるもので、エビカニにも同じ幼生の時代があります。その後2週間ほどでキプリス幼生という最後の幼生になり、この時物に船底に付着し、その後あのフジツボになるのです。

 身を寄せ合うように群生しているフジツボ。いったいなぜあのように重なり合うように群生しているのかと言うと、1つのフジツボからなにやら白い管が伸ばして、もう1つのフジツボの体内に入り交尾をするのだ。伸びたのはフジツボの交尾器でフジツボは雌雄同体なのですが、基本的には他の個体と交尾して子孫を増やすため、交尾しやすい様に群生している。

ボートユーザーにとって、フジツボは非常にやっかいな生物であるが、地域によってはフジツボを食用として食べているところもある。もちろん通常私達が目にするフジツボとは種類が異なりサザエかっ!と思うほどの非常に巨大なものである。

 

船底塗料はどのような効果があるのか?
船底塗料には水につかると、塗膜自身が勝手に溶けながら動植物の付着を防ぐ自己消耗型(自己研磨型)と塗膜の間から防汚剤がしみ出ることで動植物の付着を防ぐ高硬度型の2種類があり、プレジャーボートの場合は自己消耗型(自己研磨型)が大半です。後者はレース艇などに使用されます。

多くの船底塗料には防汚剤として亜酸化銅が含まれており、これがフジツボのキプリス幼生を寄せ付けない役割を果たしています。昔は有機スズが含まれていたが、環境の影響により世界的に禁止されている。

多くの一般ボードに使用されている自己消耗型(自己研磨型)船底塗料は説明通り、少しづつ溶け出している。塗装膜は少しづつ薄くなり、いつかは効果が無くなる。そのため、船底塗料を厚く塗れば効果が長持ちするのだ。船底塗装時に重ね塗りを推奨するのはこのような理由がある。

船底塗料はいつ塗れば良いのか?
船底塗料は一般的には6ヶ月程度効果が持続するが、6ヶ月を越えると急激にその効果は落ちてきます。そのため、船底塗装は年2回行うことがベストです。
では、船底塗料は、いつ塗れば良いのでしょうか?

フジツボ等付着生物は水温が高くなる6〜9月に繁殖期を向かえるものが多く、船底塗装をするには、乾燥しやすい雨季を避けた5、6月と夏に付着した生物を一掃する9、10月が最適でしょう。

船底塗装のやり方と船底塗料の選び方!!

03/12/06



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