ボート、船外機のプロペラ選びの基礎知識(第一回)

ボート(船外機含む)のプロペラは自動車のタイヤ以上にボートの走航行性能を左右する重要なパーツです。使用するボートのサイズ、ハル形状、船体重量、搭載物の重量などでプロペラのサイズは異なってくるはずです。

1.ボート、船外機の最高回転数域に合わせる                             

ボートや船外機のカタログのエンジンカタログ、説明書などにそのモデルの最高回転数域が明記されています。これはそのボートがフルスロットルの状態の時に最高回転数がその範囲(例えば5000〜6000RPM)にあるようなセッティングをしなければならないと言う事です。フルスロットル時に回転数がこの範囲内にない場合、エンジンは高い負荷状態であり性能を発揮できていないばかりか、エンジンの破損の原因にもなりかねません。自動車やオートバイには1速、2速、、、と変速機がありますが、では変速機のないボートエンジンにおいてどのようにセッティングするか?こらはプロペラのサイズ(主にピッチサイズ)で行う以外にありません。

プロペラに起因するものとして下記のような症状があります。

a.回転が上がらないか又は回り過ぎる。
b.プレーニングが遅い。
c.トップスピードがでない。
d.乗艇人数が増えるとスタンヘビーになる。

2.プロペラのサイズ

ピッチ、ダイアとはピッチとは図(1)のようにそのプロペラが1回回転してその翼が描く軌跡で理論上、進む距離を言います。図のようにピッチが強いほど1回転で進む距離が増加しますが、当然ピッチが強いほど抵抗が大きく、馬力(トルク)が必要となります。よって、その馬力帯に相応して使用できるピッチのサイズには上限があります。次にダイアですがこれはプロペラを前、又は後ろから見て回転した時に描く円の直径を言います(図2)。この直径の変化で回転数も変わりますが、同クラスのプロペラ内でピッチほどダイアに関してはサイズの選択肢はありません。また通常プロペラサイズの表示はインチです。10×13とあればダイア10インチ、ピッチ13インチとなります。

図1

ピッチのゆるいプロペラが
一回転して進む距離
図2
ピッチのきついプロペラが
一回転して進む距離
図3
ダイヤ直径

3.プロペラを選ぶ 

ボートの大きさ、エンジンの馬力、使用中のプロペラのサイズ及び使用状況(場所や乗船人数、荷物の量など)などを考えてプロペラを選びます。。特に小型のボートでは乗船人数などで条件が異なってきます。また、遊び方によってもプロペラ選びは異なってきます。例えばウェイクボードなどのトーイングを行う場合は、引っ張りながら低速で走行します。この場合エンジンに高い負荷がかかりますので、具体的には長時間の低速走行によりエンジンがカブってしまったり、プレーニングが遅いということが起こります。この場合、ピッチの短いもの(ゆるいもの)を取り付けることで、エンジンの負荷が減りプレーニングも早くなります。、

4.ピッチの決定 

エンジンの全開推奨回転域内を確認します。現在のプロペラが規定回転数範囲内の全開回転数である場合は、これまで使用してきたものと同じピッチの交換用あるいはアップグレードプロペラを選択します。
現在のプロペラの全開回転数が推奨回転数範囲内にない場合は、次のルールに従ってピッチを大きく、また小さくし、交換用あるいはアップグレードプロペラへと選択をします。
・ プロペラピッチを1in.増大すると全開回転数が150〜200降下する。
・ プロペラピッチを1in.減少すると全開回転数が150〜200上昇する。
・ 3枚ブレードから4枚ブレードプロペラにアップグレードする場合は、4枚ブレードプロペラは通常、同じピッチの3枚ブレードプロペラより50〜100 rpm 低い回転数となることに留意してください。
(上記値はあくまで参考です、メーカー及びボートのサイズにより異なります)

5.プロペラの材質について

ステンレスはアルミと比較して約5倍の強度があります。プロペラをステンレスで造る場合、この強度を利用してアルミと同等の翼厚にして高い強度(耐久性)を得るか、アルミと同強度になるように薄く仕上げ抵抗を少なくして回転数を上げるなどが考えられます。一般的にはレースの世界などを除き前者に近い(強度を得る)設計がなされています。このように書くと強度以外のメリットがないようですが、実際にはこの強度を利用してステンレスプロペラには性能を向上させる様々な加工や形状を持たせる商品が販売されてきている。

6.ブレードの枚数について

3枚ブレードに比べて4枚ブレードの特徴は次の通りです。
3枚ブレードプロペラより早くプレーニング(滑走)させます。 そのため、低い速度でのボートのプレーニング(滑走)が可能です。 3枚ブレードプロペラよりスムーズに回転します。
また、悪条件下でも保持力が良好で、急回転時のベンチレーションが起こりにくなります。
また、低速時のハンドリングが向上しするなどの利点があります。

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