猿でもできるFRP補修(艇体補修)?

多くのボートやジェットスキーに、船体にFRPが使用されている。FRPはプラスチックでありながら引張強度、弾性率を金属並にすることで、軽く丈夫な先進複合材として多くの船に使用されている。半永久的に腐食せず、しかも軽量である。しかし、FRPには、たわみやすいという弱点があり、そのたわみが限界にきたとき破断する。具体的はに、船体に何か衝突したときなどに船体にヒビ割れが発生する。そんなときに必要なのがFRP補修です。FRP補修は難しいように思われますが、工程が多いだけで実際に行ってみると非常に簡単です。(猿でもできるというのは過言です)
■FRP補修(船体補修)の準備品

サンド
ペーパー
(No.100〜240)

はけ(巾5〜10cm)
ローラー

帽子
手袋
マスク
作業用メガネ

マスキングテープ
(幅が広いもの)

この他に新聞紙や紙皿、紙コップ等などもあると便利。
■標準的なFRP補修(船体補修)工程


樹脂の塗布(図1)
はけ又はローラーで行う

1.診断・積層計画 補修部分の研磨 ヒビが見えなくなるまで削る。
大規模な補修の場合は、グラインダー等での研磨も可。 傷が一部でも滑らかな形状となる様削ります。補強範囲・使用繊維・積層数を決める。
2.下地調整 傷の表面がつるつるだと、逆に盛ったFRPが剥離してしまうので、 粗い紙やすり(100〜400番くらい)でやすっておく。油分・劣化塗膜・ゲルコート層を研削・除去・場合によっては、クラックを瞬間接着剤などで前処理する。
3.マスキング 補修範囲外を新聞紙などで覆い、余計なところに樹脂がつかないようにする。
4.繊維の裁断 繊維方向に配慮して裁断する。
5.樹脂調合 樹脂を紙コップに取り出し硬化剤(硬化促進剤)を1〜4%前後(注:条件により異なる)滴下しよく攪拌する。あまり気泡をいれず充分にまぜる。樹脂に硬化剤が混入されたポリエステル樹脂は徐々に化学反応を起こし硬化が始まりますので、積層作業は手早く30分以内に硝子繊維の積層作業を行って下さい。
6.塗布・積層 繊維または基材に樹脂を軽く塗布し、繊維を置き、さらに樹脂を塗布する。図1⇒図2⇒図1
7.脱泡 ローラーや割箸などで気泡を抜く、繊維を浮かさないように注意する(図3)。
8.積層 6〜7の手順を数回繰り返し積層し厚みをだす。積層枚数は破損箇所などにより異なる。硝子マットと硝子クロスは互い違いに重ね張りする事によりハイブリットな構造となり、補強面の強度が更に増します。
小さい面積の場合の補修は硝子マットを使用せず、硝子クロスと刷毛塗りだけでも充分な補修効果を得られます。
8.養生 少し硬化したところで、あまりに不必要な箇所はウェットトリミング(半硬化状態で,カッター等を使い整形)する。
9.硬化確認 爪を立て傷つかなければ硬化完了。積層終了後(24時間後が目安。気温と硬化剤量により大きく異なる)完全硬化を確認してから裏側に固定していたガムテープ類を外す。
10.整形 グラインダーとサンドペーパーなどで整形する。図4
11.表面仕上げ 耐水サンドペーパー##200前後で整形〜研磨する。


FRPの積層(図2)


脱泡作業(図3)


積層作業(図4)

FRP補修作業Q&Aと作業注意

■使用材料の特徴

●ガラス繊維
ガラス繊維とは、ガラスを太さが5〜10ミクロン(1000分の5-10mm)ぐらいの極めて細い糸状にしたもので、その繊維を集めて糸状にした物を束ねたもので通常は布状にしたものが用いられます。
ガラス繊維の中でも「ガラスマット」と呼ばれるものと「ガラスクロス」と呼ばれるものをよく使います。通常、硝子マットと硝子クロスは互い違いに重ね張りする事によりハイブリットな構造となり、補強面の強度が更に増します。


ガラスマット
短く切ったガラス繊維をランダムに重ねて布状にしたもの。 型の曲面にもなじみやすく重ね合わせて目的の厚みにすることが出来る。

ガラスクロス
ガラス繊維の糸を交差させて織って布状にしたもの。 ガラスマットよりも薄いが長い繊維を織り込んでいるので引っ張り強度が強い。 薄く均一な成型品を作るときなどに使用します。

●FRP用樹脂
FRPの成形にはFRP用樹脂に硬化剤を入れて、ガラスマットやガラスクロスに染み込ませるように積層される。メーカーとしては竹内化成社製が信頼おける。ヤマハが最初にFRP船を手がけたときにFRPというものの技術を紹介したのが竹内化成といわれる。日本でのFRP技術を広めた会社でもある。

●硬化剤(硬化促進剤)
ポリエステル樹脂は、単体では固まりにくいため、 硬化剤(硬化促進剤)を適量加える事で化学反応が起こり硬化していきます。 硬化剤の量は樹脂の量と作業時の温度によって異なってきます。

●溶剤(洗浄用)
FRP成形で使用したローラーや刷毛等は樹脂が固まると再使用不可能になってしまいます。従って使用した刷毛等は樹脂が固まる前に樹脂を洗い流してやる必要があります。アセトンは揮発性が非常に高くとても引火しやすい液体なので火気には充分に注意します。

■使用材料の紹介
ここでの製品は主に竹内化成社製を選んでいます。竹内化成はヤマハが最初にFRP船を手がけたときにFRPというものの技術を紹介したのが竹内化成といわれる。FRP船のベニア板での型づくりを提案し日本でのFRP技術を広めた会社でもある。

ガラスクロス
1m×2m

定価¥1,400
販売価格
\1,330

ガラスマット
1m×2m

定価¥1,050
販売価格
\1,000

船底塗装
キットDX

定価\2,500
販売価格
\2,200

ポリエステル樹脂 2Kg

定価¥1,700
販売価格
\1,620

アセトン 
2リットル

定価¥1,500
販売価格
\1,430

硬化剤 
50g

定価¥250
販売価格
\230

FRP補修材の購入比較はこちら

 


Copyrights(C) All Rights Riserved. 禁無断複製、無断転載
このホームページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。

inserted by FC2 system